著 者:砂川文次
タイトル:ブラックボックス
初 版:2021-07-07
出版社:講談社
刷発行:2021-07-07
砂川文次の題記作を読んだ。今般の芥川賞ノミネート作で、作者自身は3度目の候補作品だ。いづれも読んできたが、以前の2作品は自身の自衛隊経歴が色濃く出たミリタリー作品だった。今作では主人公の経歴の中で自衛隊は出てくるが、舞台は現代の格差社会で底辺に暮らす青年の破天荒な生き様が描かれている。主人公を3人称で描き、回顧風のようでそうでもなく、さりとて物語の時間軸がどこを中心にしているのかよく分からなかった。おそらく、場面の一段面を詳細に描写するのが得意の作者ならではの文体表現で、鮮烈な場面がいくつか出てくる。いかにも芥川賞選考委員の好みそうなスタイルで、難しい純文学の香りを何となく容易に感じた。
 ID【No. 331 】scroll 
カテゴリー:純文学小説
ブログ登録日:2022-01-20


©2016 - powered by azuminolike.net