著 者:嶋津輝
タイトル:カフェーの帰り道
初 版:2025-11-14
出版社:東京創元社
刷発行:2025-11-14
題記の本は今年1月の直木賞受賞作で、受賞時に図書館予約してから2ヶ月半後にこれを読んだ。5話からなる短編シリーズもので、戦中・戦後の時代を経て東京下町のカフェを舞台に繰り広げられる女給の物語だ。主人公は各話で変わるが、同じ登場人物が何度か出てきて時代の風景や個々人の個性、世相の流れなどが絡み合って読んでいて楽しかった。戦争と向き合う暗さの中でたくましく生きる女性が描かれ、侘しい寂寥感よりもむしろ、ほっこりとほのぼのとした情感を覚えた。過去の直木賞受賞作で短篇集を納めたものが意外と多く、その多くがシリーズものの構成となっている。今回も受賞を勝ち得た作者の力量と連続して畳みかけるドラマ性が随所に見られて、読者冥利に堪能できた。唯一、意外だったのは著者名からして男性作家だと思い込んで読み終えたが、実際は女流作家だった。読んでいて、なぜそれに気づかなかったのか、自分の感性もだいぶ衰えた感がした。
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カテゴリー:大衆文学
ブログ登録日:2026-04-04


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