直木賞の2014年上期は黒川博行の「疫病神シリーズ」最新作が受賞したが、その時読んだ心地よさを思い出し、このシリーズものに興味を覚えて前作でシリーズ第四弾の「螻蛄(けら)」を読んだ。主人公二人の丁々発止のやりとりは小気味よく、読みやすさはバツグン。悪と対峙する社会派ハードボイルドと言えば聞こえはよいが、中身はひたすら金・カネに執着する主人公に嫌悪感も覚える。本作、そして前に読んだ直木賞受賞作と言い、大衆娯楽に徹した文体は馴染めるものの、何か希薄さばかりが目立って得るものがないのも然りだ。シリーズ、他のタイトルも大同小異と思われ、これを最後にしたい。
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