副題に「小説源氏物語」とあり、読み始めたところ源氏物語の主人公、光源氏はすでに故人となっていた。源氏物語自体を読んだことはないが、400字詰め用紙で2400ページ分、文字数おおむね100万字に至る長編で、54帖の構成は70余年の出来事を綴ったものらしい。この本では後半の宇治十帖の部分に相当するようで、光源氏の子、薫ともう一人の貴公子、匂宮が織りなす平安貴族のラブストーリだ。ストーリは原典に忠実に従っているが、大胆にはしょった現代訳とのことで読みやすい。現代語訳には古くは与謝野晶子、谷崎潤一郎が有名だが、この林真理子の訳は超訳していて、とても1000年前の物語とは思えないリアルなタッチの好色物語となっている。源氏物語のおよそを知る上では面白いのだが、本書の前段部分に当たる別タイトルの本を引き続き読むか、迷うところだ。
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