図書館の新刊コーナーにあった本の著者名とタイトルに惹かれて、掲題の本を読んだ。自分のHPサイトは安曇野市「穂高」から発信し、先月から試験運用を始めた名著本の閲覧サイト「青空と白い雲文庫」の名前が脳裏に重なって、何かの縁だと借りてみた。内容は東日本大震災の被災地の出来事を著者の出身地、仙台を背景に身内の体験を綴った随想録のような仕立てだ。当時の生々しい出来事、特に命を落とした人が身内の周りに多くいて、残された人々の苦悩が臨場感をもって綴られている。既に見聞きしたような出来事をリピートしたようで、震災後5年を経過した今になって一体、著者は何を言いたいのか気になって読み進めたが、最後の5ページほどにその主張が纏められていた感がする。被災地出身の作家が満を持して書いたのではなく、鬱蒼としてずっと悩み続けてきたことを心を込めて書き上げたような仕上りだった。
Monthly photo – 2024.11
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