昨年末の図書館で、芥川賞候補にノミネートされた雑誌が陳列されていてこれを借りて年始に読んだのがこの本だ。初めて読む作家だが、過去にも芥川賞候補に3度もノミネートされたこともある実力者のようだ。文体は幼稚と言っても良いほど単純でわかりやすい文章だ。だが、主人公の感情表現や主張もなく淡々と日々の生活を綴っているだけで、これが芥川賞候補になったのが不思議に思われる。この作家が劇団を主宰していたこともあり、おそらく演劇や脚本などの分野に秀でたところがあるのだろう。読んでいて物語の光景が、そして読み終わった後にもその残像が目に浮かぶのが唯一、この本の持つ魅力だったような気がする。自分にとってはほとんど理解しがたい内容だった。
Monthly photo – 2024.8
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