読書カテゴリーの前回投稿から1ヶ月以上のブランクとなった。前投稿「双頭の船」の直後に同じ作家、池澤夏樹のデビュー作「スティル・ライフ」を読んだ。この作品は主人公と同僚との間の淡々とした話で、1988年の芥川賞・受賞作。酒場での真面目な会話に始まり、自然や宇宙論などに触れながら最後は「株取引」の手腕に長けた同僚と主人公が結託して荒稼ぎをし、同僚が犯した犯罪の償いをするストーリー。詩的な純文学調の作品であるが、起伏の無いストーリー展開と迫力に欠けた結末で、個人的にはあまり好感がもてなかった。全体の文章も自分にとっては相性が悪く、今回でこの作家の読書は最後にしたいと思う。
前投稿の「双頭の船」が311大震災をテーマにした作品であり、その延長上で今年の話題作、いとうせいこうの「想像ラジオ」を読んだ。読者の人気を呼んで、図書館での貸出し予約が殺到し、入手するのに約1ヶ月を要した。この作品も311大震災をテーマにし、死者の側で描かれたストーリ展開をしている。ネタバレしないよう内容説明は省くが、軽いノリのある文章が一見読み易いようで読破に4日も要した。作者の主張が見通せない不思議な小説で、震災犠牲者を冒涜しているようにも思えたのは私だけか..。いよいよ9月も後半、読書の秋も到来し次は何を読もうか思案している。