百田尚樹「永遠の0」/きむらけん「特攻隊と〈松本〉褶曲山脈」を読んで

題記の2冊を読んだ。共通点は特攻隊で、今年に入ってこのテーマの本を合計6冊、読んだことになる。特攻隊員の残した手記やフィクション小説、そして今回の「きむらけん」の本は今日にして追跡調査したルポルタージュであった。20131026
百田尚樹の「永遠の0」は2006年の作で新しくはないが、全国的にも人気小説のようで、市立図書館4カ所とも所有しているが、いずれも順番待ちで貸出し予約をしてから1ヶ月半も待たされた。最近、気付いたのだが、この原作を映画化したものが年末から公開されるようで、加えてこの映画の主題歌サザンオールスターズの曲でもあって、人気が加速されたようだ。フィクションではあるが、戦争の経過と特攻隊の実態を幅広く物語っていてよくできた小説だ。ただ主人公は現代人受けするような設定で、美化した英雄像を描いたように思える。もう1冊の「きむらけん」のルポルタージュは特攻隊員と彼らを取り巻く人々との交流を記録簿的に整理したもので、迫力には欠けるが戦時下での人々の声が聞こえてくるような臨場感を覚えた。
この6冊をもって、特攻隊関連の本からは当面、離れるつもりだ。戦後、70年近くが過ぎようとしている。生き残った特攻隊員もやがては全て消え去り、今が最後の節目だとも言われているが、特攻隊の壮絶な記録は今後も永遠に語り継がれていくには違いない。

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