題記の本を読んだ。元商社マンが退職後の軽井沢で著し、自費出版したものらしい。この種の本が図書館の新刊本の1冊として備わった経緯は分からないが、タイトル名に惹かれて借りた。図書館側でも案外、私と同じように名前で判断して定期購入リストに加えたのかも知れない。もっとも私はサンティアゴをサンディエゴと錯覚して読み始め、米国らしい描写が一向に現れずチグハグな想いをした。内容は20世紀前半の日本、アルゼンチン、スペインを舞台に戦争下での人間模様が描かれたもの。刷り込み書評には「歴史の渦の中で交錯するそれぞれの人生、運命の糸で結ばれた人々が紡ぐ人間讃歌」とあったが、読後の充足感にはイマイチ欠ける内容だった。数編の短編が各々独立した断片的構成で、短編間に時空の流れもなく捉えどころのない不思議な本だった。
Monthly photo – 2024.11
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