近場の安曇野コンサートホールに、「クラリネット〜ヴァイオリン〜ピアノの華麗なる響き」と題したコンサートに行ってきました。生演奏を聴くのはほぼ1ヶ月ぶりで、家でCDを聴くより緊張感があっていいです。印象に残ったのはモンティとバルトーク。モンティ「チャルダッシュ」は久方ぶりで、ヴァイオリンの多彩な音色(高音部はまるで笛のよう)がとても気に入りました。そして弦がこんなにかすれた音色だったかなあ、とも思いました。バルトークはトリオそれぞれが超絶技巧を駆使(ヴァイオリンもクラリネットも各2本の楽器を用意して途中で音色を使い分けるなど)した曲で、そのものは馴染めないものの生ならではの楽しさでした。ピアノのソロはさすがプロだなあーと感じました。ショパンに限れば、1ヶ月前の丸山葉子さんの方が可憐で好演奏だった気がします。今さら恐縮ながら、丸山さんの評論で雑誌「ムジカノーヴァ」2012年1月号に以下がありました。『ショパンの作品表現に奏者の本質を聴いたように思う。含蓄に富む丸いひびきの創出と作品へのアプローチの正当性が充分に発揮された。元来、ショパンの作品の根底にはポーランド人がひとしく感じているという(訳出不可能といわれる言葉)”ジャル”(あえて言えば、喪失感を伴う憂愁の気分とでも言おうか…)の感覚が流れるという。当日のマズルカのごく自然で正統なリズム表現のうちに、この舞曲特有のすばらしい内的憧憬の世界が展開された。バラードとノクターンにおいても...』丸山さんはポーランド留学の経歴もあり、ショパンを得意とする弾き手だったのですね。
このコンサートホールは小さくこじんまりしていて、サロンが如く演奏者を目前に意識できる所が魅力です。また、次回が楽しみだ。(実は、私は学生の頃にクラリネットを少し吹いていたことを懐かしく想い出しました)
「プログラム」
・ ミヨー/トリオ(Cl.Vn.Pf トリオ)
・ ラフ/カバティーナ(Vn&Pf)
・ クライスラー/美しきロスマリン(Vn&Pf)
・ モンティ/チャルダッシュ(Vn&Pf)
・ ウェーバー/序奏/主題と変奏(Vn&Pf)
・ ショパン/幻想即興曲(Pf ソロ)
・ ベートーヴェン/ピアノソナタ「悲愴」よりアダージョ(Pf ソロ)
・ バルトーク/コントラスツ(Cl.Vn.Pf トリオ)