安部龍太郎「維新の肖像」を読んで

少し前に読んだ時代劇小説が消化不良気味だったので、然らばと読み直しに掲題の本を借りた。明治維新の戊辰戦争が描かれた歴史小説で、主人公の朝河親子や二本松藩などは架空のフィクション小説と思い込んで読み終えた。いざ読後の感想を書こうと画像検索などをしていたところ、物語はどうやら実在の中から描かれていたことに驚いた。親の朝河正澄は戊辰戦争での反政府側・二本松藩の志士、子の朝河貫一は米国イェール大学の教授で、主人公の二人が時空を越えて同時並行して物語が描き出されているのも面白い。通常の歴史小説とは色合いが異なり、それぞれの時代の緊迫した世相が臨場感たっぷりに味わえて、なかなかの秀作だった。

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