ベートーヴェン、交響曲第9番「合唱」

CDの聴き比べで、以前にベートーヴェンの交響曲第3番、6番を記しました。然らば、次なるは9番が順当かと真夏ながらの投稿です。この曲は年末での演奏会が多く、サブミナル効果がどうか私は第3楽章を聴くと無性に年の瀬を感じます。でも、年末の第9は日本だけの現象のようで、欧州では春の演奏会が多いとも聞きました。そんなかやで季節を度返しして以下に雑感を記しました。

20150818Kl★★
クレンペラー、フィルハーモニア響
録音:1960年6月7日
巨匠名演奏の代表格の1枚。伝統のドイツ音楽の響きはゆるぎなく重厚感たっぷりで、これぞクラシックの典型を思わせる演奏ながら、音質はモノトーンにして音の広がりやダイナミックレンジも乏しく、音楽として酔いしれない。

20150818Fu★★★
フルトヴェングラー、バイロイト祝祭管弦楽団
録音:1951年7月29日
この演奏は私の生まれる直前の古さだが、今でも語り継がれる歴史的名盤。なんとも気性の激しいタクトで弦が追いつかない部分もあったりして興奮する演奏だが、何分古臭さは否めない。

20150818Jan★★★
ヤンソンス、バイエルン放送響
2007年10月27日
「ヴァチカンでローマ教皇を前にした演奏は7000 人の大観衆を心酔させた名演」との評判で購入した。周到に準備された合唱団、国際的なソリスト、そしてヤンソンスの熱狂的な指揮、これぞ「最強の第9」とおぼしきや、バランスよく精緻で細部まで聴こえる演奏ながら、激しさや変化が乏しく、あまり感動がなかった。

20150818Ka★★★★
カラヤン、ベルリンフィル
録音:1977年
カラヤンの70年代の録音盤で、数ある演奏の中で一番油が乗り、安定した時期との評が多い。当時から当代随一の巨匠と呼ばれたカラヤンだが、今日ではいろいろと評価が分かれているようだ。この1枚は質の高さ、スケールの大きさ、音質などがほどよくバランスしていて「第9」の代表格の1枚と思っている。

20150818Ce★★★★★
チェルビダッケ、ミュンヘンフィル
録音:1989年1月20日、1995年1月4日
スローな演奏で有名なチェルビダッケ、ここでもその遅さは健在。オケに限らず合唱団もタクト通りにゆっくりと歌い上げ、壮大な合唱の連立方程式が個々にクリアに解けて聴けるような心地にもなれる。歓喜の爆発と言うよりも、どっしりと落ち着いた中からジワジワと喜びが滲み出るような演奏だ。

20150818jar★★★★★
ヤルヴィ、ドイツ・カンマーフィル
録音:2008年8月22-25日、12月20-22日
「ドイツ気鋭の合唱団とともに描く壮絶なドラマは新たな世界標準だ」の触れ込みが気になって購入した1枚。軽快なテンポと力強さはこれまでとは全く違う異次元な第9のようにも思える。力強さの中にもしなやかな表現力が溢れ、最終楽章は「合唱付き」ではなく「オペラ第9」を聴く思いがした。

手持ちの「第9」はわずか6枚しかありませんが、それでもその時々の気分に応じてCDを聴くのも楽しい限りです。

カテゴリー: 音楽 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。