東山彰良「流」を読んで

この本は今年度上期の直木賞作で、図書予約でおよそ1ヶ月ほど待ち、初めてこの作家の作品を読んだ。作家名からは日本人作家のようだが、台湾生まれで、経歴からも台湾人と言っても過言ではなさそうだ。本作も舞台が台湾や中国で、まるで中国の小説を日本語訳したような雰囲気だ。エキゾチックと言うか大陸的で、およそ日本文化からかけ離れた中身だ。こんな小説が日本で生まれたことに驚く。背景に抗日戦争や国共内戦の場面も描かれ、台湾人側からみたその歴史観を知らされた思いだ。戦中・戦後から日本のバブル期に至るまでをハードボイルド風に描がいたミステリー小説で、読み飽きない本ながら作風が数年前のノーベル賞作家、莫言のようで大陸的な内容に馴染めなかった。

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