五木寛之「歌の旅びと」を読んで

今回は少し柔らかい本を読んだ。NHKラジオ深夜便の月刊誌に掲載された4年分のものを集めたもので、上下巻で全都道府県+横浜の合わせて48話が載っている。売れっ子作家とは言え昭和一桁生まれで、全国津々浦々を旅し各県別に記したバイタリティには頭が下がる。無名時代の若い頃のことから高倉健を偲ぶ昨今の話など、時を超えあまねく大地を背景に一世を風靡した歌を交えた話にしばしの愉悦を楽しんだ。歌の多くは忘れていたり知らない曲もあって、頻繁にYouTubeで検索し再生音を聴きながらの読書を味わった。印象深かったのは画一民族の日本人ながら、地域に住む人々には県民性など、れっきとした差が今だあって、このグローバルな世界でもそのユニークさが一向に埋まらず存続し続けていることに驚き、また存続することの大切さをあらためて感じた。

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