「タイタニック、百年目の真実」を読んで

20130529図書館の新刊コーナーで見つけた題名の訳本は、100周年の昨年10月に刊行されたが、副題の「100年目の真実」に興味を引かれ、読んだ。キャメロン映画「タイタニック」(97年)にも出てくる深海探査ロボットのその後の調査や生存者の証言などを中心に遭難事象の検証を約500ページに渡って述べている。当初、副題から類推し100年目にして沈没の新たな真相でも得られたのだろうか、と勘ぐったがそうではなかった。この深海探査の作業中に9・11テロに遭遇して著者の家族が皆無事とはいかなかったことに触れ、タイタニック乗船者の当時の安否発表と全く同じ境遇に晒され、これは単なる歴史記録ではなく、いつの時代にも再発して止まない宿命と言える。1912/4/14(日)深夜に氷山に衝突し、数時間後の午前2時20分頃に沈没するまでの出来事を最新の科学捜査力や生存者と家族の証言そして事故査問会の記録と照らし合わせて、悲劇の全貌を解き明かした鎮魂歌(レクイエム)のように感じた。読後の今になって気付いたことだが、原書のタイトルは副題と異なり「FAREWELL, TITANIC  – Her Final Legacy」であった。

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