今日は今年、初の真夏日でいよいよ大台となりましたが、それはさて置き掲題シリーズは今回で最後にしたいと思います。前回までを読み返してみて、いずれも高校1、2年の思い出でした。なぜこの時期ばかりなのか、不思議な気もします。高校時代は校則他いろんな制約ばかりで、例えば喫茶店の出入りまで禁止されていました。大学に入って制約がなくなり晴れて自由の身になって、先生も学生を一人前の人間として接してくれるようになったのを今も懐かしく思い出します。それでも、古きノスタルジックな思い出はこの時代に終始していて、シリーズ最後も恐縮ながら高校の思い出話を文調を変え下記します。
我が母校は前回紹介したようにキャンバス地の布地カバンを腰に下げ、年間通してのゲタばき姿で、昔からバンカラ校と言われていた。このバンカラ男が大挙して年数回、学園祭などのイベントPRにプラカードを持って市中を行進することもあった。長い行列を一部の市民が見守ってくれたが、小さな子供はさぞ怖がっていたことだろう。引率の先生は私の周りにこんなことを告げた。「君らはそこらの草花を摘んで、小さな子供に手渡しなさい。ささいなことでも子供にとってはいい思い出になるんだよ」と。そんな気配りのある優しい一面もあったが、毎年1度は闘争心に燃えるイベントがあった。「TT、MT定期戦」と言われたライバル校同士のスポーツ祭だ。我らが高校1年の秋、このイベントが全国区で一躍有名になった出来事があった。TBSラジオをキーステーションに全国放送された深夜番組「パックインミュージック」だ。我ら高1仲間が投書した野沢那智・白石冬美のトーク・コーナーで白熱戦を展開し、しばらくの間は世間の話題を独占したのだ。お互いが相手高校をケナしあってヒートアップし、一時は投書した相手を探し出して吊るしあげようとまでエスカレートした。この定期戦は今だに続いているようで、昨年秋の週刊朝日にも「TTの山猿、MTの白豚」と紹介された。当時、ゲタが唯一の履物の我がバンカラ高校は力づくではめっぽう強くて綱引きや騎馬戦などは常勝していたが、テニスや弓道などのメンタルなスポーツは革靴・革鞄文化の白豚達に軍配が上がった。この定期戦での思い出は騎馬戦だ。荒っぽさが取りざたされるようになって、その年は確か我ら高1の学年のみが騎馬戦を争った。荒れ狂うモサの中でも一際目立つ者が人選され、敵の総大将を如何に潰すかが最大の山場で戦術を練りに練った。そして、その年も我が方が連勝したが、危険行為が散見されて翌年から全面廃止された。その後、高3の時のクラス替えで友人となったN君から意外な話を聞いた。まずN君は私よりもヤサ男なのに高1の時の騎馬戦メンバーであったことに驚いたが、更にこんなことを聞き出した。「俺の騎馬は速さが武器で、始まるや否やホイッスルが鳴るまでひたすら逃げ廻った。試合タイム後に残った騎馬数で勝敗が決まるのだから、当然の作戦さ」えーっ、逃げ廻った?何それ!それまでは一途にバンカラ校と信じていた私は急に不安になった。我がバンカラ校って、一体何だ...