当ブログでも何度か話題にしたこの曰くのある小説を本日、読み終えた。当初は邦訳がなくて原書で読み始めて実に1年、原書が1冊の864頁、邦訳は1204頁で実に4分冊の大作は本当に長かった。原書は何度も挫折しながら、この夏場まで1/5も読まずについには放棄し、邦訳が出たのに気づいた先月以降はこの1ヶ月、クギ付けとなった。2014年にピューリツァー賞を受賞し、世界的にベストセラーになったこの本は私にとっては超難解で、邦訳を読んでも理解しにくいところだらけだ。冒頭に主人公が殺人を犯していきなりクライマックスから始まる書き出しに戸惑い、美術館でテロに遭遇して遅々と進まないストーリにやきもきしながら読みあぐみ、原書の原生林の奥深くに迷い込んで訳のわからないトラウマ状態が続いた。それでも先に読み進めざるを得ない独特の凄さがあって、これが人気の所以なのだろう。主人公はティーンエイジャーからドラグにはまり、最後まで麻薬中毒から抜けきれず殺人を犯すなど、とても判官びいきのようにはいかないが、著者の筆力の巧みさで読者は主人公に肩入れして寄り沿ってしまう。「波乱に満ちたストーリ展開に我を忘れ、人生のすべてがここにある」など各界から評価が高いのも頷ける。今年の読書で最も衝撃を受けた小説の最右翼だと思っている。
Monthly photo – 2024.11
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