著 者:光文社編
タイトル:きけわだつみのこえ
初 版:1949-10-20
出版社:光文社
刷発行:2005-08-00
「きけわだつみのこえ」(聞け海原の声)は学徒兵の手記を戦後まもなく編纂したもので、戦争を批判しながらも散っていった若者の壮絶な記録である。いずれも戦時中の思想統制や厳しい検閲からすり抜けてかろうじて残された本音の手記で、全国から集めた多くの手記の中から抽出された。手記冒頭の上原良司をはじめ、涙なくして読めない手記の連続であった。手記の多くが共通して戦争や上層部を非難しながらも、特攻隊員を自ら志願し、死にいくことを本望とし誇りとしている。決して生を軽んじて死に急ぐのではなく、父母・家族への深い愛情や思いやりがほとばしっている。戦争責任者は学徒の誠実さや可憐さの虚をついて巧みに志願させていて何ともやりきれない。そして世相も苦渋の想いをしながらも、これを黙認した。手記の最後はB・C級戦犯として外地で刑死した学徒の17頁半に渡る述懐である。命令した上司の身代わりになって処刑された学徒の辞世句、「音もなく我より去りしものなれど書きて偲びぬ明日という字を」に涙した。
 ID【No. 5 】scroll 
カテゴリー:手記
ブログ登録日:2013-07-06


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