著 者:上原良司
タイトル:あゝ祖国よ恋人よ
初 版:1985-08-00
出版社:信濃毎日新聞社
刷発行:2005-05-01
前々回の読書投稿で消化不良気味となり、特攻隊員関係の書物を読みたい旨、記した。遥か以前から読みたいと思っていた「きけわだつみのこえ」と言う学徒兵の手記が頭の根底にあり、この本の75名の手記の中で最も印象の強い「上原良司」と言う人物が安曇野出身で、よく行く図書館では「上原良司」の常設コーナーがある。この本も常設コーナーから借りて読んだ。手記を通じて、父母・家族、そして恋人への深い愛情や思いやりがほとばしっていることを痛感した。この人間味ある思いやりこそが、上原良司が他人には託せず特攻志願の行為に至ったことを思うと、何ともやりきれない。当時の世相も苦渋の想いをしながらも、これを黙認した。戦争とは狂気であり、どこかで歯車が狂った所産だ。政治も世相も教育も一丸となって狂った方向に向かっていく。昨夏に読んだ「ナチスの知識人部隊」で、少年時代の教育がトラウマとなって、自民族の偏重と敵への恐怖感が募って、他民族の大量虐殺に至った様相を肌で感じた。今は民主主義の平和な時代とも言われるが、教育や民意の歯車が一歩狂えば、悲劇は再び起こりえることを示唆している。恒久の平和を念じ、読後感想を閉じる。
 ID【No. 6 】scroll 
カテゴリー:手記
ブログ登録日:2013-07-06


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