著 者:小川洋子
タイトル:ことり
初 版:2012-11-00
出版社:朝日新聞出版
刷発行:2012-11-00
小川洋子の作品を読むのは2作目で、タイトルの「ことり」は何とも侘しく切ない老人の一生を綴った物語。主人公である老人の孤独死に始まり、ストーリの山場や活気のある場面はなく、ひたすら平々凡々と暮らした人の痕跡が「つらい」「さみしい」などの感情語句を一切排して、淡々と描かれている。全体の1/3ほどで全容らしきものが見えて、この先どう展開するのか読み進むうちに、平凡の中の非凡さが透けて見え、兄に対する愛や平凡さの中の幸福観が描かれている。「もののあわれ」的なものへの郷愁を覚え、映画化された小川洋子原作「博士の愛した数式」と相通じた感触も加わり、最後まで一気に読み終えた。
 ID【No. 9 】scroll 
カテゴリー:純文学小説
ブログ登録日:2013-07-25


©2016 - powered by azuminolike.net