原田マハ「サロメ」を読んで

サロメは19世紀末にオスカー・ワイルドが聖書を元に戯曲を描き、ビアズリーのショッキングな挿絵で有名になった。そして、20世紀初頭にこの戯曲を元にR.シュトラウスがオペラ「サロメ」を作曲したのは周知だが、その中身は何も知らなかった。今回、このサロメなるタイトルの本を見つけて、一体どのようなことが書かれているのか興味を覚えた。実在の人物を元に戯曲が書かれた当時の作家や挿絵画家の様子が描かれているのだが、実態はどうであったのか本のストーリとは裏腹に疑問を持った。ビアズリーに献身的な姉がいて、オスカー・ワイルドと仲たがいしたのは史実のようだが、どこまでが事実なのか、どうしても勘ぐってしまう。本来、小説は創作の世界なのだが、伝記ものになると実在の人物の実話のように捉えてしまって、何とも悩ましい。原田マハの作品はその手のものが多く、今回もふと思ってしまった。

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