今年もこの時期、図書館脇のホールで掲題のコンサートがありました。毎年、楽しみにしているコンサートで、今年は「フルートと弦楽の饗宴」とのサブタイトルがありました。演目の1番目はアレンスキーの「チャイコフスキーの主題による変奏曲」というもので、初めて聴いたこの曲はハーモニーが美しいながらすぐ忘れてしまいそうで、ピチカート奏法がやたら目立った曲でした。2番目はモーツァルトのフルート四重奏曲第1番、最近はほとんど聴くことがなかった分、やたら懐かしく乾いたフルートの音色がきらびやかに響いていました。フィナーレはシューベルトの「死と乙女」で、本来は弦楽四重奏曲のところ、今回はマーラー編曲の弦楽合奏版でした。たまにCDで聴くこの名曲は全曲が短調で陰鬱なメランコリーの雰囲気が何とも魅力的な四重奏曲ですが、今回の12名による弦楽合奏ではコントラバスまでが登場し、壮大な迫力ある合奏でこれもシューベルトかと奏法の幅広さに驚かされました。とは言え、いつもながら弦の持つしなやかな響きに酔いしれた夕べでした。
今日の新聞のローカルニュースにはセイジ・オザワ・松本フェスティバルで、小澤征爾が昨日、今年のフェスティバルで初のタクトを振った記事がありました。今年の白けた夏も終わりに近づきましたが、替わってこの地にも音楽の祭典が始まりました。