大崎梢「横濱エトランゼ」を読んで

この本は横浜にまつわるタウン情報がそこに住む人々の仕事や生活を通して紹介された連作短編集だ。街並みや通りの様子が随所で描写されていて、かつて見聞きした自分の記憶が甦るようで面白かった。横浜といえば、ガス灯をはじめアイスクリーム、不二家ペコちゃんなどの発祥の地であることは記憶の片隅にあったが、元町の百段階段や根岸競馬場、戦後間もない頃に関内付近に飛行場があったことなどは目から鱗だった。作者は執筆にあたり、横浜の歴史をかなり入念に調べた様子が伺えた。ただ、設定がタウン情報誌の出版社でアルバイトをする主人公が仕事に奮闘するストーリーの中でどうでもよいことが冗長に綴られていて、読むのが億劫になる部分も多かった。願わくば、タウン情報をもう少しシンプルに物語るストーリーにして欲しかった。

安曇野の風 について

安曇野に巣くう極楽トンボ
カテゴリー: 読書 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。