薬丸岳「友罪」を読んで

3週間ほど前に観た映画の原作を読んだ。いつものパターンだと、本を読んでから映画を見るのだが、今回は逆だ。そもそものきっかけはTBSラジオの「久米宏、ラジオなんですけど」の放送で、原作者がゲスト出演したトークに興味を覚えて映画と本の両方を見ることにした。トークの中で原作者は「映画と本は別物なので、自分の描いた小説がどう表現されても気にならない」旨の発言をしていたので、どちらを先にしてもいいような気がした。実際に読み終えてみると、どうしても映画と本の違いが気になった。両方とも面白かったのだが、大きな違いは結末のような気がする。映画では何を主張したかったかが漠然としていて消化不良気味だが、本ではしっかりとしたエンディングがあった。映画は限られた時間の中で表現するので、自ずとこじんまりとならざるを得ないのに、さらにこの映画では本になかったストーリまでが持ち込まれて、余計に複雑化した感が拭えない。罪と罰の重いテーマについて、少年犯罪の不条理な側面や友情との絡みが重くのしかかり、とてもヘビーな心境を味わった作品だった。

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