9回出撃して生還した特攻隊員の実話とイジメに苦しみもがく現代の少年の物語が交錯しながらストーリが展開する。筆者は劇作家、演出家として活躍している KOUKAMI SHOUJI 氏でラジオのゲスト出演の放送を聞いて、この小説の存在を知った。特攻隊員の実話の方は、すでに別の筆者がドキュメンタリー本を出していて、本作品でも特攻隊員の話の多くはこのドキュメンタリーから引用したのだと思う。イジメの方は完全に創作内容となっていて、一見、実話との関連はないように思えたが、日本人特有の全体主義の絡みが戦時中と現代との差こそあれよく類似しているようで空恐ろしさを覚えた。戦時中のほとんどの国民は特攻を是と思っていたのは戦時下非常時の狂気のせいだと私なりに理解していた。一方、現代のイジメ問題はますます巧妙化し陰湿化していることをこの本を通じて知った。イジメの当事者のみならず、それを黙認し同調する周りの生徒、そして事件が起きてからの学校、教育関係者のことなかれ主義的な後処理はまるで戦時中の特攻を黙認した意識と大差はないような気がしてきた。多分、筆者の言わんとした狙いはそこにあったのではないかと思う。以前に特攻関係の本に興味を覚えていろいろと読んでみたが、今回の本では現代にまで遡及した問題として捉えていて、とても考えさせられた。
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