真藤順丈「宝島」を読んで

今話題の第160回直木賞受賞作を読んだ。沖縄の戦後から返還まで20数年の若者たちの物語で、ジャンルはミステリーの部類だろう。3部構成の凝った内容でストーリ展開もバラエティに富んでいた。今だ尾を引く基地問題の根底を掘り下げて、昔話や伝承の類までを織り交ぜながら怒涛のごとく突っ走る小説だ。切り口はヤクザ社会を全面に出したような語り口で、数年前の直木賞受賞作家、黒川博行を彷彿させた。全537頁の長編だが、飽きさせず最後まで一気読みできて面白かった。いつもはうちのオバはんと直木賞受賞作品をバトンしながら読んできたが、今回はバイオレンス味の作風に躊躇したか、おばはんは読むのを諦めた。女性向きの小説ではないのかも知れない。

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