これまた第160回直木賞候補の中の一つを読んだ。不思議な小説だ。日本人作家なのに、登場人物が全て外国人。今までこの種の小説を読んだことがあったであろうか。初めて読む作家で、男女どちらなのかも判断が難しい。当初は名前の韻からして女流作家だと決め込んで読み始め、やはり女流ならではの書き振りだと一旦は思い込んだ。でも、読み進むうちにこれは絶対、女流作家ではないだろう、と最後まで読んだ。そして、最後の謝辞を読んだとたん、やはり女流作家のようにも思われた。果たしてどうであったか、皆さんご自身でご確認ください。暗く陰湿な時代の凄惨な出来事が終始する内容だが、ミステリー小説の醍醐味を存分に味わえた。今回の直木賞受賞作よりも、本作の方が賞に相応しい出来だと思った。
Monthly photo – 2024.11
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