今般の芥川賞候補作のひとつである題記の本を読んだ。作者は今、テレビのコメンテーターなどでも知られる話題の人物だ。時代の寵児とは言わないまでも、本人は順風満帆でここまでやってきたのであろう、その延長で書き上げた初の小説は多分に驕りが見られ、自己中心で霹靂とした。自意識の過剰さは作中でハイブランドやリッチな御用達はじめ、最新・最先端な話題を満載している割にはその意図するところが不明瞭で単純に鼻持ちならない気分のみが残った。全体として何を言わんとした小説なのか分からず、平成の最後をてらった旬のざれごとのようで、期待していただけに残念だった。
Monthly photo – 2024.8
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