フランシス・ハーディング「カッコーの歌」を読んで

先月末、ネット上で図書館の新刊情報を見ていて英国幻想文学大賞受賞作でまだ誰も借りてないことに興味を注がれ、新刊コーナーに立ち寄ってみた。でも、そこにはなく図書館員と一緒に館内をくまなく見たところ、別のヤングアダルトの新刊書棚にあった。ヤングアダルト系の本とも思えず、借りるのっけから冒険の始まりのようだった。ジャンルはファンタジー小説だが、変わった構成だ。普通のファンタジーなら幻想や非現実のあり得ない世界を描くのに、主人公がそれなりに現実との架け橋をして読者を仮想空間に引きずり込むのに、この小説では主人公が現実の人ではないことだ。そしてこの主人公が終始、人間らしさを失わないように行動し物語を進めていく背景のロジックが奇抜で斬新だ。最初は全体像がつかめず読みあぐんでいたが、後半からはわら人形のような主人公がこの先どうなるかどう結末を迎えるのか、感情移入して読み終えた。時代設定が第1次世界大戦直後のイギリスだったのも、幻想の世界とノスタルジーが融合しているようで面白かった。

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