活字が大きく、すぐ読めた。でもそれだけのことで、あまり印象に残らなかった。売れっ子の若手作家のようで構想から出版まで3年を要したとのことだが、ストーリー展開に無理があるような気がして馴染めなかった。現世で体験したトラウマが後世に遺伝するのがこの本の趣旨だが、やたらこじ付けがましく返って非現実さを露呈するようで面白くなかった。いっそ、ファンタジー小説ように虚構をどっしりとためらいもなく描いた方が読者をその世界に引きずりこませることができるのに、と思うのは私だけだろうか。何か中途半端な設定がストーリーのそこかしこに垣間見れて、興ざめした小説だった。
Monthly photo – 2024.11
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