先般の直木賞受賞作である題記の本を読んだ。人形浄瑠璃にまつわる伝記物で、史実に基づくフィクションだ。なかなか馴染めない本のタイトル名や浄瑠璃の不慣れさから当初、難しそうな本を連想したが、実際に読んでみると読みやすくとても面白かった。話し言葉だけにとどまらず徹頭徹尾、大阪弁でテンポよく語られる構成がユニークであり、心地よさを感じつつも何かしら文化圏の違いを目の当たりにした。実在した浄瑠璃作家の一生が描かれ、時の推移で浮き沈みする浄瑠璃の世界の中で懸命に生きた人々の情熱がとても共感を呼び、新鮮さも覚えた。直木賞受賞ならではの作品だと感心した。
Monthly photo – 2024.8
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