薬丸岳「蒼色の大地」を読んで

薬丸岳の小説を読むのは今回で2作目だ。正直、あまり面白くなかった。明治初期の海賊と海軍との攻防を描いた歴史小説と思いしや、どうやら私怨を絡ませた部族間の争いをテーマに描いた小説のようだ。舞台が瀬戸内海の謎めいた島で、冒険小説の類いのようにも思える。読後に知ったのだが、とある文芸誌の立上げ企画として「螺旋プロジェクト」と言う名で8組9名の作家が書き連ねた過去から未来への長編競作の中の1作だった。どおりで長編の流れの縛りが出て、ストーリーが無理強いされてこじつけがましく、作為的な感が否めなかった。

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