最新の芥川賞候補作の中の一つを読んだ。候補作品はいつもながら読書感想を書くのが難しい小説で、唯一よいことは作品が短いことだ。賞の応募資格が中編までとされ、分厚い単行本ほどの分量は対象外とされている。本作品を読んで、又いつもながらの感触を持った。分かり易い文章で読みやすいのだが、とことん感情移入したり先を競って畳み込んで読み進んでいくといった醍醐味が一切ない。瑞々しくうまい文章なのに全体が退屈なのだ。この感触はまさに芥川賞を勝ち取る雰囲気だ。主人公の姪と早世する叔母との交流を描いた内容で、日記を多用しているところに新規性を感じた。ただ、多感でナイーブな若い女性の心情を描くのに女流作家のような自然な艶めかしさはなく、文体に無骨な男性作家がイメージされてしまうイマイチさを感じた。
Monthly photo – 2024.11
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