逢坂剛「平蔵狩り」を読んで

「平蔵」は筆者の短編連作のシリーズ物で、最近読んだ4作目の最新作に魅せられて、過去本も読むことにした。順不同でも面白そうなので、今回は2作目の「平蔵狩り」を選んだ。いずれの4シリーズも6話からなる短編集で、一件落着の捕物帳だ。登場人物は火盗改(かとうあらため)トップの平蔵は毎回登場するが、事件を追う準主役は短編毎にいろんな人物が交錯し、全シリーズに渡っては与力など、人物交代するようだ。共通しているのは捜査陣末端の手先は身内ながら皆、犯罪歴を持つ人物となっていて、特に毎回登場する女性キャラは味があって、読者の人気を集めているようだ。2作目の6篇の中で一番、面白かったのはタイトルと同じ「平蔵狩り」だった。およそ予想だにできないストーリー構成で、ハードボイルド・タッチの中に平蔵の情が溢れていた。皆なかなかの連作物で読むに飽きず、借りた本を家内と廻し読みしている。

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