このところ読み進めてきた「平蔵シリーズ」、全4巻で最後に題記の第1巻を読んだ。巧みに構成された人物が全巻を通して出没するが、第1巻を読んでその基となる人物紹介の流れになるほど、と腑に落ちた。全巻とも各巻6編の短編集で構成され一件落着の短編小説とは言え、読んだ全4巻ではそれなりに時系列な繋がりがあったと感じた。それでも順不同で読んで何ら違和感を感じずにハマることができたのは、捕物帳の醍醐味として痛快活劇が1話ごとにそれぞれ個性のあるストーリー展開となっていることに尽きると思う。逢坂剛の平蔵は江戸時代の実在人物を題材に全くの創作劇として江戸の市井文化を背景にして描かれているが、藤沢周平や宮部みゆきの市井ものとは雰囲気がまるで違い、作家それぞれの味わいがあって面白い。本シリーズ、第1巻が2012年発刊で隔年毎に続いてきたように思うが、今後更に本シリーズ物が長く続くことを願ってやまない。
Monthly photo – 2024.8
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