前々回2019年下期の直木賞候補作であった題記の本を読んだ。湊かなえの本を読むのは3冊目で、過去に読んだ2冊ともあまり印象が良くなかったが、今回も同等だった。前回と同じようにシーンがガラリと切替わるエピソード構成で今回は7つのエピソードと多く、煩雑で発散気味な感じがした。当代の売れっ子作家なのに私にとっては相性が悪いのは何故だろう、と思うに文章は容易だが独特の言い回しは脈絡を掴むのに骨が折れることが一番に挙げられる。その分、読書スピードがどんどん落ちて、少し読んでは考えあぐんでしまう連続だった。内容は出身地の田舎で成長期に起きた殺人事件を15年ぶりに調べていくうちに事実関係が混沌とし、複雑に絡み合いながら予想外な発見で終局を迎えるミステリーで、凝った構成だ。冗長な部分をもっと整理できないか、ドラマの脚本のような作風をもう少し小説ぽく書けないか、など苦言を呈しながら読み終えた。
Monthly photo – 2024.11
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