このところ読書から遠ざかっていたわけではないのだが、海外文芸書を2冊ほど途中放棄してしまい読書投稿が間延びしてしまった。元通りにはなかなか立ち直れず、切替えに思い切り気軽に読める本として本書を選んだ。本書は文芸に携わる或いは携わった著名人、41人がビールについて綴ったエッセイを集めたものだ。そのうち半分以上は鬼籍入りした故人となっている。大方の御仁はビールを飲む行為やそれに付随した思い出などに執着した内容だが、少数派ながらビールの銘柄やビールそのものの学術的評論があったりして多岐に渡っている。共通しているのは著者は皆、ビール派だということだろう。不思議に感じたのはPARCO出版の本でありながら、エッセイの全てが別のいろいろな出版社に掲載されたものを集めているところだ。しかもかなり古いものが多くて、版権などはどうなっているのか気になった。ビールと言えば、冷え具合、泡のこだわり、喉を潤す爽快さなどなど、やはりこの本を読むなら木枯らしの吹く今ではなく夏場に限る思いをした。それと、近年では年間を通じて一人でアルコールを飲む時はビール離れしている自分にとって、本書の中身に実感や共感を覚えると言うよりもそんなこともあったね、と昔懐かしの時代を思い起こさせるような感触だった。
Monthly photo – 2024.8
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