題記の林真理子のエッセイ集を読んだ。「週刊文春」に連載されてきたエッセイの中から割と最近のものを抜粋したもので、元の週刊誌のエッセイは史上最多連載回数を達成し、ギネス記録として申請したとのこと。1983年29歳で連載を開始し昭和から平成、令和へと長く続いた秘訣はもちろん本人努力の賜物だが、決して飽きることのない読者ニーズがあってのことだと思う。驚くばかりだ。実際の本の中身はミーハーぽいゴシップものが多いものの、時代を反映した話題のてんこ盛りは読むのに飽きない。具体的内容はそんなこともあったけ、と過去を振り返るばかりでなく、知られざる実体や裏側の世界が垣間見えて目に鱗だ。そして林真理子独特の持論が縦横無尽に展開され、軽妙なテンポで畳みかける様はさすが、文壇の重鎮たる貫禄を感じる。特に面白かったエッセイの一部を拾うと、
- 年をとるというのは、「怒りっぽくなる」「話が長くなる」「ひがみっぽくなる」 ことだとわかってきた。壊れたレコードのように何度も同じことを繰り返すようになると、余命は1年未満らしい。