石田夏穂「我が友、スミス」を読んで

本年1月に実施された第166回芥川賞の候補作である題記の作品を雑誌を通じて読んだ。受賞には至らなかったが、とても読みやすく面白かった。筋トレに励むOLが自己流のトレーニングに終止符を打ち、本格的な指導を受けて、ボディ・ビル大会に出場し賞を獲得するまでの奮闘記が描かれている。題名のスミスは人名ではなく、機能が充実した筋トレマシンで筋肉業界では定着した名前のようだ。全体を通して超マニアックな内容だが、業界用語の説明も分かりやすくボディビルの実体を垣間見た感がした。コミカルな場面も多くて読むに飽きない構成で、女性のボディビルは一昔前ならひんしゅくを買うようなところだが、今やジェンダー時代に似合ったチャレンジングな作風で新鮮味を覚えた。

安曇野の風 について

安曇野に巣くう極楽トンボ
カテゴリー: 読書 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。