窪美澄「夜に星を放つ」を読んで

今般の直木賞受賞作を読んだ。ページ総数は220ページで文字もスカスカと、読むのに半日だった。一つ一つが独立した5編の短編集で、いずれも暗く喪失感あふれる人の心の内面を描いている。女流作家らしい気取らず優しく美しい文章で、心理描写や情景描写が巧みだ。ただ、題材が普通で通り一遍な深みのなさを感じた。受賞作として期待していただけに、あまりに平凡過ぎて拍子抜けした。歴代の直木賞ほどの秀逸さはなく、今回の他のノミネート作の方が優れているものがあったと感じた。

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