池井戸潤「下町ロケット ヤタガラス」を読んで

下町ロケットのシリーズ、4作目の「ヤタガラス」を読んだ。前作「ゴースト」のストーリーを継続展開し、勧善懲悪の真骨頂を総仕上げしたような内容だ。中小企業どうしの激突、大企業の親方日の丸主義や内部組織の硬直化した派閥等が多重に絡み合い抗争がいよいよクライマックスへと、手に汗握る展開だった。あまりの面白さに第2作から4作までを1週間ほどで一気読みしたが、畳み掛けるようなストーリ展開に没入してしまうのは私だけではないような気がした。この人気シリーズ、特に第3巻と4巻が発刊された2018年にはテレビドラマ化もされて大いに万人受けしたことも頷ける。当時の私は無頓着と言うか、蚊帳の外で今にしてその存在を知った。テレビ化では主人公の社長は阿部寛、天才女性エンジニアはイモトアヤコが演じているようで、本とはまた違うイメージだ。いずれにしても、かつての「ものづくり日本」を彷彿させてくれた、「下町ロケット」シリーズに感謝したい。

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