本年1月の直木賞ノミネート作で、図書館予約してから年を越して今ようやく借りれた。それにしてもここ2ヶ月の読書はなく、久しぶりにその醍醐味を味わった。本作は江戸時代の実在の人物を扱った歴史小説。8代将軍・徳川吉宗は記憶しているが、9代の家重はその素性を初めて知った。半身不随で書くことも喋ることも困難な将軍嫡男が類いまれな通詞を得て格闘しながらも活躍する姿が描かれている。主人公は時の流れに沿って随時変化し、最後は誰もいなくなったところまで及ぶ。ストーリのどこまでが史実なのか不明ながら、歴史を知る上でも貴重な1冊だ。封建社会の真っ只中で在位16年もの間、頭脳明晰ながらコミュニケーションの取れない将軍がよくぞ務まったのも通詞が口となって四六時中そばに仕えたことの賜物で、その忍耐と稀有さに圧倒された。
Monthly photo – 2024.11
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