一穂ミチ「ツミデミック」を読んで

今般の直木賞受賞作を読んだ。一つ一つが独立した6編の短編集で、いずれもコロナ禍と犯罪が絡んでいる。のっけから都市伝説ぽいオカルトの世界から始まり、前半の3篇はおどろおどろしく怖い。後半の3篇はどことなく安らぎのある終わり方でほっとした。それにしても筆者は見事なストーリー・テラーだ。どの作をとっても予測のつかない展開、度肝を抜くエンディングで、さすが直木賞を受賞したことがうなづける。題名の「ツミデミック」、最初は謎めいて感じたが、ツミ(罪)とデミック(パンデミック)の合成だと気づいた。2021年〜2023年に雑誌に連載された小説で、コロナ禍の悲哀が凝縮されていてコロナのまた違った側面を垣間見た感がした。

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