題記の本を読んだ。怒涛の3日間で、最後のクライマックスは眠気を押して明け方近くの午前様となった。クライトンのデビュー初期で、1969年作だからもう半世紀となる。SF・サスペンス物で発表するなりベストセラーとなり、一躍、本人を有名ならしめた記念碑的名作だ。宇宙空間の病原体を人工衛生で回収し、これを生物化学兵器に応用する開発試験で予期せぬ事故となり地球の存亡が危ぶまれる展開となるストーリーは当初、荒唐無稽に思えた。しかし、医科学的根拠や疫学研究の真実が随所に散りばめられ迫真に迫る内容はにわかに真実味を帯びてきて面白かった。そのはず、クライトンは本作の執筆時はハーバード大の医学生だった。まるで文献を網羅した学術書を読む感じで、新人作家とは思えない力量だ。あれから半世紀、時代は過ぎ新たな知見が積み重なって今に至るが、本作のSFストーリ内容は少しも陳腐化せず今だ増印刷が繰り返されていることが納得できた。発表後まもなくロバート・ワイズ監督の映画化がなされたようで、観たい気もしてきた。クライトンご本人は2008年、66歳で亡くなったが、身長が2m近くあったことを今にして知った。
Monthly photo – 2024.11
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