青山文平「底惚れ」を読んで

先日読んだ直木賞候補作の巻末に宣伝のあった題記の本を読んだ。3年半ほど前に発刊された本で、柴田錬三郎賞と中央公論文芸賞をW受賞した時代小説。受賞に絡み選考委員の著名作家の多くが大絶賛していて、読む気をそそられた。実際に読んで、う〜んこれは凄いと感じた。一番の凄さは全編が口語体で、主人公の語り口で物語が進行していくことか。その語彙の豊かなこと、作家たる才能のゆえんを存分に知った。描かれた時は江戸時代、先日読んだ小説とよく似たと言うよりか今年の大河の吉原周辺の遊女の世界が舞台だ。結末のドンデン返しもあり、面白さを通り越して痺れた。選考委員の林真理子氏が「もはや完成形といおうか名人芸といおうか、『うまい』と唸るしかない」と評価したのは正に然りだ。

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