今回の芥川賞候補の一つだが、退屈な小説だった。日本人と台湾人とのハーフの子供が中国語を習いに上海の学校に行き、そこで過ごした日々を回想めいて綴っている。原稿枚数にして224枚の中編で1日で読み終えたが、とにかく読み進めるのが億劫だった。まあ最後には何らかの感動、或いは爽やかな読後の余韻でも残るのではないかと期待したが、結局何も残らなかった。文章が新進気鋭の鋭さや切れ味の凄さがあるでもなく、普通のタッチだった。何を書きたかったのかよく分からず、いつもながら芥川賞候補なるが故の面白みのない典型的な作品だった。このような作品でも結構、評価され受賞するパターンがよく散見されるので、今回はどうなるかそれだけが気になった。
