高橋源一郎「銀河鉄道の彼方に」を読んで

20140121図書館の新刊コーナーから少し前に姿を消した題記の本を作家の専用棚から探して借りてみた。一昨年に読んだ同著者の「さよならクリストファー・ロビン」は童話と思いしや次元スリップしたSF小説もどきで面白くなかった。今回、図書館で立ち読みした冒頭部は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に酷似した始まりで、今度こそは銀河鉄道の現代版童話かと期待した。ところが、”宇宙でいちばん孤独な男”のエピソードあたりから生と死、夢、記憶などの問題を論じた哲学的な物語となり、第3章では著者が本文中に執筆の苦悩を綴ったりしてはちゃめちゃな様相を呈している。各論のいたるところで「よくわからない」が連呼されて、いささか消化不良ぎみを禁じ得ない。最終の第4章で主題の解、或は納得できるエンディングも見出せず、とにかく難解な小説であった。今日は雪の舞う日、もう少し心温まる書物に巡り会いたい。

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