小川洋子が選んだ16篇からなる短編集で、各編とも彼女の解説エッセイが付いている。収録された短編は半分以上が名前も知らない作者で時期も明治から平成まで、私小説から幻想的作品までバラエティに富んでいる。どのような基準で選んだのかよくわからないが、共通して言えそうなのが「動物」、生き物たちの活躍だ。時空も場所も違う短編に次々といろんな生き物たちが登場し、何だかよくわからないうちに玉手箱の中のようにそれぞれが生き生きと馴染んできた感がした。そして読み終えたときの小川洋子の解説エッセイがよい。彼女の陶酔具合がひしひしと伝わってきた。何やらこの「短篇箱」は2篇目で、”陶酔”の前に”偏愛”もあることを知り、また楽しみが増えた。
