鴨長明「方丈記」を読んで

今日9/24は連休明け。少し前から持病の耳の調子が悪くなり、病院の耳鼻科へ。飛び入りの受診で待つこと2時間半。待機を予想して持ち込んだ題記の文庫を十二分に読めた。分量は30頁ほどの本文に25頁ほどの解説書。久方ぶりの古典を堪能までとはいかないものの楽しめた。でも内容が暗い。人の世の無情を感じて出家した長明。出家しても決して安住の暮らしではなく、苦渋に満ちた生涯を綴っている。著名でなく高い身分でもない筆者なのに、この随筆が鎌倉時代から今に至るまで読み継がれている。その理由は洗練された格調高さにあるのだろう。翻れば源氏物語はじめ枕草子、竹取物語、古今和歌集など平安時代は見事なまでに文学が華開いた。その後、方丈記は鎌倉時代の作。徒然草も然り。平安の優美な世界から無骨で重苦しい武士の世、無常の世界に変わったのだ。と、想いを馳せながら病院の一角で過ごした。
実は左の耳が急に遠くなり、いよいよ高齢でここまできたか。この先、近いうちに補聴器か。と待っているさ中で、更に暗い文章。どこまでも落ち込んでいく自分を重ね合わせていたが、診察の結果はそれほど悪くはなかった。持病の左耳の難聴が以前の治療の時に戻った程度でそれよりも悪化していないとのこと、ほっとした。何やら、方丈記にも少し光が刺してきた感じの帰路だった。

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