永方祐樹「字滑り」を読んで

今週、発表となる芥川賞受賞の候補作である題記の小説を雑誌を通して読んだ。昨年末に読んで、ほとんど印象に残っていない。一言で言えば、とても難しくついていけなかった。芥川賞のノミネート作でなければハナから途中放棄していただろう。「字滑り」とは、突然に文字が消えて使えなくなる現象のようで、漢字やひらがなやカタカナが消えて、使えなくなる。どの言葉が消えたり使えなくなったりするのかは、場所や状況によってさまざまで、個人差もある。そんな体験話が3人の招待者を交えて延々と繰り広げられる。文学は文字を介して縦横無尽にいろんな世界を描くことができるが、文字そのものを取り上げて虚構の中に入り込んで最後まで解がなく終わるといった感じ。ちっとも作者の表現したかったことが解らずじまいで、自身の疑心暗鬼から抜け出せなかった。ところで、文章を読んでいて女性のタッチを随所に感じ作者本人の素性を後で調べたら、筆者名からして予想だにしなかった女性だった。

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